今回は、『補助金採択の羅針盤』の支援により、実際に採択された自動車整備会社の事業計画書を一部公開しながら、設備導入による省力化と受注拡大や新しいサービスにつなげる書き方を見ていきましょう。
本事例では、外部に依存している車検工程を自社内で完結させ、そこで生まれる時間を事業拡大に振り向けるというストーリーを構築しています。
こんな方にぜひ読んでほしい
- 自動車整備で設備投資を考えているが、事業計画書で何を説明すべきか分からない方
- 補助金利用で「効率化できる」だけではなく「売上や利益」につなげたい方
- 自社の強みを生かした、説得力のある申請書を作りたい方
1.車検を「自社で完結」することにより、次の成長を目指す
今回取り上げるのは、千葉県の中小企業成長促進補助金で採択された、車検整備・修理、自動車販売などを手掛ける地域密着型の自動車整備会社です。
現状では、整備後の車両を運輸支局へ持ち込んで検査する必要があり、移動や待ち時間が大きな負担となっています。そこで、車検レーンを整備して指定工場化を目指し、車検工程を自社で完結させることを目指します。
単なる効率化ではなく、即日車検への対応や、商用車・法人車両の受注拡大、他の整備工場からの業務受託までつなげる成長計画となっています。
2.SWOT分析*では「現状では強みを生かせない」理由まで掘り下げる
本事例では、長年の整備実績や法人・物流車両の顧客基盤を強みとする一方、検査設備がないため、即日対応や受注拡大に制約がありました。
つまり、強みはあるのに、設備不足が成長の妨げになっているという状態です。
SWOT分析では、単に強み・弱みを並べるのではなく、「なぜこの設備投資が必要なのか」までつなげて示すことが重要です。
*SWOT分析とは:自社の強み、弱み、機会、脅威を明らかにすることで進むべき戦略を構築するためのフレームワーク
3.省力化の根拠を具体的な数字で示す
「作業時間を大幅に削減します。」
これだけでは、現状がどれほど大変なのか、どの工程が改善するのかは分かりません。
本事例では、運輸支局への車両持ち込みから検査完了までに、1台当たり約5時間、月平均30台の対応が必要としています。つまり、約5時間×30台=月約150時間の工数が発生しています。
下図の比較表では、整備に要する300分は変えず、持ち込み検査に関する300分を、自社での検査20分に置き換える試算を示しています。合計は600分から320分へ、1台当たり280分の短縮を見込む計画です
「何となく効率が上がる」ではなく、どの工程が、どれだけ変わり、どの費用が減るのか。
ここを明確にすると、投資の効果を具体的に説明しやすくなります。
4.浮いた時間を、どう売上に変えるか?
省力化の計画で、もう一歩踏み込みたいのが「効率化で浮いた時間を何に使うか」です。
本事例では、次の二つの方向で事業拡大を計画しました。
1)他の整備工場から、検査・調整業務を受託する
一つ目は、対応設備などを持たない近隣の整備事業者に対し、自社工場で検査・調整を行うサービスを提供することです。指定工場の認定取得後は、整備に加えて車検まで一貫対応する体制へ発展させる計画としています。
2)法人に対して一貫した車両管理サービスを提供する
二つ目は、複数の車両を保有する法人向けサービスの強化です。
車検・整備のスケジュールを、保険やロードサービスと一体で管理・提供し、法人顧客の車両管理負担を減らす構想を組み立てました。
さらに、車両の整備履歴や更新時期を把握することで、車両販売やリースの提案にもつなげる計画です。整備だけを伸ばすのではなく、既存の自動車販売事業との相乗効果まで考えています。
本事例で参考にしたいのは、省力化で生まれた余力の使い道を、自社の既存顧客やサービスと結び付けていること。誰に、何を提供し、どのように売上につなげるのかまで描くことで、設備導入後の会社の姿が具体的になります。
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5.まとめ
今回の事例では、設備投資そのものではなく、その投資によって会社がどう成長するかを示している点が重要です。
自社の強みと課題を整理し、その課題を解決する設備を選び、時間やコストの改善効果を具体的に示して、そこから生まれる新しいビジネス機会や売上拡大まで描く。それが「補助金に採択される事業計画書」です。
エム・アイ総研株式会社が運営する『補助金採択の羅針盤』
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