宝田産業|”卸売一筋80年”から、体験型ジュエリーSHOPで「製造小売」へ
~事業再構築補助金を活用し、工場直販×オーダーメイド×創作体験で売上UPを目指す~
(事業再構築補助金)
有限会社宝田産業様は、千葉県成田市で貴金属宝飾品の製造卸売業を営む老舗企業です。昭和22年の創業以来約80年間、三世代にわたり「全てを善意に解釈し、やがて我らの楽土を築かん」をモットーに、指輪・ブレスレット・ネックレスなどを自社工場で一つひとつ手作りし、永遠のメンテナンスを誓うものづくりを続けてきました。
宝田産業 飯田代表
同社の最大の特徴は、国内トップクラスの製造技術です。プラチナと金のコンビネーション製品を得意とする「鍛造(たんぞう)」技術や、日本でも数社しか対応できない希少な「象嵌(ぞうがん)」技法は、業界内でも高く評価されています。その実力から、日本ジュエリーベストドレッサー賞の表彰式で芸能人が身に着けるジュエリーの製造依頼が絶えず、かつては元横綱・曙関の婚約指輪を手掛けた実績も有しています。
一方で、コロナ禍は宝飾品市場に大きな打撃を与え、外出回避や接触回避により問屋からの注文は約3割減少。常時取引の問屋も縮小し、経営環境は一気に厳しさを増しました。
加えて、宝飾品は職人技の手作業が中心で、標準的なリングでも納期は約1か月かかります。大量生産に向かない構造に加え、職人の高齢化も避けて通れない課題となっていました。
顧客が求めていたのは、「買う前に心が動く」体験価値
こうした環境下で宝田産業様が打ち出したのが、「宝飾品製造卸売」から「宝飾品製造小売」へと踏み込む大胆な事業転換です。自社にとって初めてとなるジュエリーSHOPの出店を本社敷地内で行い、工場直販の強みを活かした小売事業をスタートする計画です。
新事業の核は、単なる店頭販売ではありません。①一般小売、②CADを活用したオーダーメイド、③カップル向け創作体験プラン、④インターネット販売 を組み合わせ、「作る工程」そのものを価値として提供するものでした。
補助金活用で実現する、店舗新設とCAD設備導入
この挑戦を後押ししたのが事業再構築補助金です。
宝田産業様は補助金を活用し、交通量の多い国道408号に接する本社敷地の一部を解体し、更地にSHOPを新築し、顧客駐車場も整備しました。さらに、これまで経験の少ないCADを用いたキャスティング鋳造に必要な設備を整え、製造小売に耐える体制を構築しました。
店舗はショーケース間隔に余裕を持たせ高級感を演出しつつ、お客様が予約式で応接室に直接来店できるようにしました。また、ショールームからガラス越しに職人の作業風景が見える設計とし、「工房の信頼」そのものを体験価値へと転換しています。
ご依頼者様インタビュー
インタビュアー 『補助金採択の羅針盤』飯塚
インタビュイー 『宝田産業』飯田代表
補助金活用を検討した背景
飯塚
今回、弊社にご相談いただいたきっかけを教えてください。
飯田代表
当社は成田の地で、宝飾品を80年間つくり続けてきました。「一つひとつまごころを込めて手作りし、永遠にメンテナンスする。」という姿勢で、卸売を通じて全国の販売店様に支えていただいてきました。
ただ、コロナ禍で問屋からの注文が大きく減り、常時取引先も減っていく中で、このままでは先が見えないという危機感が強くなりました。
そこで、卸売だけに依存せず、自社の技術を直接お客様に届ける「製造小売」へ転換する必要があると判断しまして、事業再構築補助金にトライすることを決意し、地元の経営者仲間経由でエム・アイ総研さんを紹介してもらいました。
補助金申請~採択まで
飯塚
補助金申請の準備では、どのような支援を受けましたか?
飯田代表
「卸売から小売へ」という方向性自体は社内でも固まっていたのですが、実際にそれが事業として成立するのか、正直なところ確信が持てませんでした。
当社にとって初めての取り組みで、「お客様に本当に受け入れられるのか」「価格や提供方法はこれでよいのか」といった点が大きな不安でした。
エム・アイ総研さんには、まず当社の現状(卸売中心の収益構造や取引先)、強み(職人技術やリフォーム・リメイクの実績、顧客リストの存在)、そして成田という立地特性や周辺の需要動向まで、丁寧にヒアリングしていただきました。そのうえで、「卸売企業が小売に踏み出す」だけではなく、「工場直販×体験×オーダーメイドで新しい顧客価値を提供する製造小売へ転換する」という事業再構築のストーリーとして整理してもらいました。
結果として、単なる「店舗を作る投資」ではなく、「卸売依存から脱却し、体験価値を核に製造小売へ転換してV字回復を狙う」という一貫した計画書に仕上げることができ、申請に向けた不安がかなり解消されました。
採択後の実務と効果
飯塚
採択後の進捗はいかがですか?
飯田代表
本社敷地内にSHOPを新築し、駐車場も整備していく計画です。投資も、建物・解体整備・CAD関連機械まで含めて整理できたことで、やるべきことが明確になりました。
新設されたショップ
また、店舗ではガラス越しに職人の作業風景が見える設計も予定しており、品質への安心感を「見える化」することを大事にしています。
採択後の社内外の変化
飯塚
社内の反応はいかがでしょうか?
飯田代表
職人の仕事は時間がかかり、大量生産には向きません。だからこそ「手作りの価値」を、体験や直販を通じて正しく伝えられることに希望があります。
高齢化の課題もありますが、CAD等の設備を整え、これまでの技術を次世代に引き継ぐ「場」としても、このSHOPを位置づけたいと思っています。
これから申請される方へメッセージ
飯塚
これから補助金に挑戦する方へ一言お願いします。
飯田代表
補助金は「苦しい時期を埋めるため」だけではなく、自社の強みを活かして、次の柱をつくるための投資を可能にしてくれます。当社の場合は、80年間積み上げた製造技術を活用し、「体験型ジュエリーSHOP」を新設して小売へ転換し、V字回復を目指す取組みそのものが事業再構築だと考えています。
自社の「らしさ」をどこに置き、どう価値として届け直すか。そこを一緒に描けるパートナーと取り組むことが、結果的にいちばんの近道になると思います。