注目の新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)」の公募詳細が発表されました。
今回の新補助金は、これまで多くの中小企業に活用されてきた「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」の2つが一元化され、その流れをくむ形で誕生したものです。
今回は、最新の公募要領(令和8年6月版)をもとに、多くの事業者様が活用されるメインの申請枠である「革新的新製品・サービス枠」と「新事業進出枠」の2つを中心に、スケジュールの注意点や補助金額、必須要件をわかりやすく解説します。
1. 第1回公募のスケジュール
今回の第1回公募は、以下のスケジュールで進行します。
- 公募開始(要領公開):令和8年6月29日(月)
- 電子申請受付開始:令和8年8月31日(月)
- 申請締切:令和8年9月30日(水) 18:00まで(厳守)
- 補助金交付候補者の採択発表予定:令和8年12月頃(予定)
申請の締め切りは9月末ですが、電子申請の入力には数時間程度を要します。さらに、申請に必須となる「GビズIDプライムアカウント」の取得や「一般事業主行動計画」の公表手続きには、1〜2週間程度の時間がかかります。未取得・未対応の事業者様は、今すぐ準備を開始しましょう。
2. 3つの「補助対象事業枠」とは?
本補助金には、自社の取り組みに合わせて選べる3つの申請枠が用意されていますが、本記事では①と②を中心に解説します。
① 革新的新製品・サービス枠
従来のものづくり補助金の流れを汲む枠であり、革新的な新製品・新サービスの開発を支援します。単に既存の機械を更新するだけでは対象にならず、自社の技術力を活かして顧客に「新たな価値」を提供する開発である必要があります。
② 新事業進出枠
従来の新事業進出補助金の流れを汲む枠であり、既存事業とは異なる、新たな市場や高付加価値事業への進出を支援します。会社としての大きな新分野開拓を強力に後押しする枠となっています。
③ グローバル枠
海外市場開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制強化の取組を支援する枠です。
3. 補助金額と補助率:枠と従業員規模で上限額が変わります
補助金額の上限は、申請する枠や従業員数によって細かく異なります。メインとなる2つの枠の補助上限額は以下の通りです。
■ 革新的新製品・サービス枠 の補助上限額
- 従業員数 1〜5人: 750万円 (※850万円)
- 従業員数 6~20人: 1,000万円 (※1,250万円)
- 従業員数 21~50人: 1,500万円 (※2,500万円)
- 従業員数 51人以上: 2,500万円 (※3,500万円)
補助下限額:100万円
■ 新事業進出枠 の補助上限額
- 従業員数 1〜20人: 2,500万円 (※3,000万円)
- 従業員数 21~50人: 4,000万円 (※5,000万円)
- 従業員数 51~100人: 5,500万円 (※7,000万円)
- 従業員数 101人以上: 7,000万円 (※9,000万円)
補助下限額:750万円
※各枠の( )内の金額は、大幅な賃上げを行う「賃上げ特例」を適用した場合の上限額です。
■ 補助率
革新的新製品・サービス枠
- 中小企業者は1/2(※2/3)
- 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者は2/3
新事業進出枠
- 中小企業者は1/2(※2/3)
※( )内の補助率は、地域別最低賃金引上げ特例を適用した場合のものです。
4. どのような経費が使える?必須経費の注意点
本補助金は、設備投資等を通じた生産性向上や新事業進出を支援するため、対象となる機械装置・システム等の単価は「10万円(税抜き)以上」と定められています。
主な対象経費:
機械装置・システム構築費、建物費(※新事業進出枠・グローバル枠のみ対象)、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費など。
「革新的新製品・サービス枠」では機械装置・システム構築費が必須となります。
「新事業進出枠」では、機械装置・システム構築費又は建物費のいずれかが必須です。
汎用性のあるパソコンやスマートフォン、公道を走る車両、自社の人件費などは補助対象外です。交付決定日より前に契約・発注した経費も対象外(事前着手不可)となるため注意が必要です。
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5. 申請のための「基本要件」:賃上げが必須
申請にあたっては、以下の目標を満たす3〜5年の事業計画を策定しなければなりません。
付加価値額の向上
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を、年平均成長率4.0%以上増加させること。
一人当たり給与支給総額の増加
一人当たり給与支給総額を、年平均成長率3.5%以上増加させること。
事業場内最低賃金の引き上げ
事業場内最低賃金を、都道府県の地域別最低賃金より「+30円以上」高い水準にすること。
ワークライフバランス
一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」に公表していること。
子育て等に関する職場環境整備
「ライフデザインサービスの活用」や「育児支援サービスの活用」、「既存制度の周知」などから1つを選択して取り組むこと。
その他、新事業進出枠に限り最低1期分の決算書が必要なので、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外となります。
本補助金は「一人当たり給与支給総額の増加」や「事業場内最低賃金の引き上げ」といった賃上げ要件への取り組みが必須となっています。よって、応募申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外(応募不可)となります。
また、この2つの項目については、目標が未達成だった場合は補助金の返還義務が生じるため、精緻な計画策定が求められます。
6. オンラインでの「口頭審査」に備えよう!
本補助金では、書類審査だけでなく、必要に応じてオンラインでの「口頭審査(約15分間)」が実施されます。
これは申請事業者自身(法人の代表者や担当者等)が対応する必要があり、外部支援者やコンサルタントの同席・代行は一切認められません。自らの言葉で事業計画の実現可能性や優位性を熱意を持って説明できるよう、事前の準備が不可欠です。
まとめ
第1回を迎えた「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、従来のものづくり補助金・新事業進出補助金の流れをくみ、中小企業の新展開を強力に後押しする制度へと進化しました。しかしその一方で、職場環境整備要件、口頭審査など、クリアすべきハードルはこれまで以上に高くなっています。
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